あいち環境学習プラザ

水のよごれ

わたしたちは、毎日のくらしの中でたくさんの水を使っています。川やダム、井戸(いど)などからとりいれた水は、家庭だけでなく農業や工業など、いろいろなところで使われています。

もちろん、水はわたしたち人間だけのものではありません。川や海は、魚などのたくさんのいきものたちのすみかですし、陸上のいきものにとっても、なくてはならない大切なものです。

しかし、わたしたちは自分たちが便利な生活をおくるために、大切な水をいつの間にかよごしてしまっています。

 

 

水のよごれってなに?

わたしたちは、自分たちが使った水を、排水(はいすい)として川や海に流しています。この排水(はいすい)の中には、水のよごれの原因(げんいん)になるものがいろいろとふくまれています。  私たちの家から流される排水(はいすい)の中には、有機物(ゆうきぶつ)といって、川や海にすむいきものや水草などの栄養となるものが、たくさんふくまれています。これが、水のよごれのもととなります。

 

 

水はなぜよごれるの?

川には「自浄(じじょう)作用(さよう)」という水をきれいにするしくみがあります。

川に流れ込んだよごれは、水の中にすむ魚や貝、昆虫(こんちゅう)、微生物(びせいぶつ)などのエサになったり、水草の栄養になったりします。魚や昆虫(こんちゅう)などのフンや落葉、川底の石や水草にくっついたよごれも、微生物(びせいぶつ)が分解(ぶんかい)して、水やガスなどにし、水のよごれを減(へ)らしているのです。

こういったよごれを微生物(びせいぶつ)が分解(ぶんかい)するときには、水の中の酸素(さんそ)をつかいます。酸素(さんそ)は、水草が光合成によりつくりだしたり、水面が波立っているところで空気中から溶けこんだりしています。魚や昆虫など水の中にすむ他のいきものたちも、この酸素(さんそ)をつかって生きています。

水のよごれが少ないときには、自浄作用(じじょうさよう)のおかげで川はきれいになりますが、わたしたちがよごれを多く流しすぎると、水の中のいきものたちがよごれを使いきれずに、川に残ってしまいます。また、微生物(びせいぶつ)がよごれを分解(ぶんかい)するのに必要な酸素(さんそ)が少なくなってしまうこともあります。こうなると、水の中にすむいきものは生きていけなくなってしまいます。  川のよごれは海にも流れこみます。海では、よごれを栄養にする微生物(びせいぶつ)が急にふえ、水の中の酸素(さんそ)が足らなくなるなどして、魚や貝などのいきものが死んでしまうことがあります。これを「赤潮(あかしお)」といい、愛知県でも毎年発生しています。

 

<赤潮(あかしお)になった海のようす 三河湾(みかわわん)

赤潮

 

 

水のよごれは、昔よりもきれいになっているの?

わたしたちの住む愛知県の川や海のよごれについて、水のよごれ具合を表す指標(しひょう)CODで、昔と今の川や海のよごれ具合をくらべてみましょう。

昭和59年(1984年)にはよごれがひどかった川や海も、平成20年(2008年)になると少しきれいになってきています。しかし、場所によっては、よごれ具合が変わらないところや、ひどくなってしまったところもあります。

どうして、なかなかきれいにならないのでしょうか

<昭和59年(1984年)の川や海のCODの値>

 

<平成20年(2008年)の川や海のCODの値>

昭和30年(1950年)代には、工場から、いきものにとって有害なものがふくまれた排水がそのまま川に流されて、水俣病(みなまたびょう)イタイイタイ病など、たくさんの人が病気になってしまいました。この頃、工場などから出る空気や水のよごれが原因(げんいん)で人々が病気になるという問題は日本各地で起き、公害(こうがい)とよばれました。公害(こうがい)を二度と起こさないようにするために、法律(ほうりつ)で基準(きじゅん)が決められ、排水をきれいにする施設がつくられるようになり、工場からの排水(はいすい)はだんだんときれいになっていきました。  今、問題となっているのは、わたしたちの家から出る排水(はいすい)(生活(せいかつ)排水(はいすい))のよごれです。

 

 

水をよごしているのは……?

最近では、わたしたちの家から出るよごれがふえ、川や海をよごす大きな原因となっています。川や海に流れるよごれの半分以上が、わたしたちの家から出た生活(せいかつ)排水(はいすい)なのです。

 

 

わたしたちは、台所やトイレ、お風呂(ふろ)、洗たくなど、毎日の生活のなかで水をたくさん使っています。  昔とくらべて、わたしたちの食事にハンバーグやカレーなど油をたくさん含んだものが多くなり、洗剤(せんざい)をつかう量がふえたり、食べ残しがふえたりしたため、台所から出るよごれが多くなってきています。

 

 

水のよごれをきれいにするには?

きれいな川や海を守るためには、水のよごれを減(へ)らすための施設(しせつ)が必要です。

家がたくさん集まっている地域(ちいき)では、各家庭の排水(はいすい)を集めて処理(しょり)する下水道の整備(せいび)が進められています。集められた排水(はいすい)は、下水(げすい)処理(しょり)場(じょう)で、微生物(びせいぶつ)などのはたらきにより水をきれいにしてから、ふたたび川へ流されます。

また、下水道のない地域(ちいき)の多くの家庭では、浄化槽(じょうかそう)で水をきれいにしてから、川へ流しています。

こうして、わたしたちの家から出るよごれた水をそのまま川へ流すのではなく、下水処理場(げすいしょりじょう)や浄化槽(じょうかそう)できれいにしてから流すことが大切です。 しかし、下水処理場(げすいしょりじょう)や浄化槽(じょうかそう)でも、よごれを完全にきれいにすることはできません。水のよごれを減(へ)らすためには、わたしたちの一人ひとりが、毎日の生活の中で、水をできるだけよごさないようにしていくことが大切です。

 

 

愛知県のとりくみ

愛知県では、きれいな川や海を守るために、さまざまなとりくみを行っています。

 

工場から出る排水については、基準を守っているかどうか工場に行ってチェックしています。また、大きな工場から出される排水を監視(かんし)し、その結果をみなさんに発表し、水のよごれに関する問題を解決(かいけつ)するための調査(ちょうさ)を行っています。

 

家庭から出る生活排水のよごれを減(へ)らすため、油(あぶら)ヶ(が)淵(ふち)など重点的(じゅうてんてき)にとりくむ地域(ちいき)を決めてクリーン活動を行ったり、身近な対策(たいさく)などをみなさんに紹介したりしています。

 

 

水をきれいにするために、わたしたちにできることは?

<水のよごれを減(へ)らす工夫>

食べものを残さないようにする

牛乳(ぎゅうにゅう)やジュース、みそしるやカレーなどを台所に流すと、水のよごれの原因(げんいん)になってしまいます。まずは、飲むことができる分だけ、食べることができる分だけつぎ、残さないようにしましょう。

 

お皿やなべについたよごれはふきとってから洗(あら)う

お皿やなべについたソースや油は、ゴムベラなどでふき取ってから洗うと、水のよごれの原因(げんいん)はもちろん、つかう洗剤(せんざい)の量もへりますよ。

 

洗剤(せんざい)は正しくはかって使う

洗(せん)たくや食器洗(しょっきあら)いにつかう洗剤(せんざい)や、お風呂(ふろ)でつかうシャンプーやリンスは必要な分だけ使うようにしましょう。洗剤(せんざい)をたくさん使っても、よごれは多くおちません。正しい量を使うと一番よくよごれが落ちますよ。

 

ほかにも、水をきれいにするために、わたしたちにできることはたくさんあります。みなさんでできることを、家族やともだちと話し合ってみてくださいね。そして、できることは今日からすぐに実行しましょう!

 

コラム1 水のよごれを表す指標BODとCOD

BOD:Biochemical Oxygen Demand(生物化学的酸素(さんそ)要求量(ようきゅうりょう))

有機物による水のよごれの程度(ていど)を表す指標(しひょう)。水の中のよごれが、20℃で5日間のうちに微生物(びせいぶつ)により分解(ぶんかい)されるときに使われる酸素(さんそ)の量のこと。単位はmg/l(水1リットルあたりに使われる酸素(さんそ)の量mg)。BODの値(あたい)が高い(数が大きい)と、水の中の微生物(びせいぶつ)によって分解(ぶんかい)されたよごれの量も多いということを表します。

 

COD:Chemical Oxygen Demand(化学的酸素要求量)

有機物による水のよごれの程度を表す指標。水の中のよごれが、100℃で30分間のうちに酸化剤(過マンガン酸カリウム)により分解されるときに使われる酸素の量のこと。単位はmg/l(水1リットルあたりにつかわれる酸素の量mg)。CODの値が高い(数が大きい)と、よごれの量も多いということを表します。

 

 

コラム2 公害(こうがい)問題

水俣病(みなまたびょう)

熊本県(くまもとけん)水俣市(みなまたし)の工場から、有害なメチル水銀をふくむ排水(はいすい)が海(水俣(みなまた)湾(わん))に流され、水俣(みなまた)湾(わん)の魚・貝などの体にとりこまれ、それを食べていた人々の体がしびれて動けなくなったり、筋肉(きんにく)がおとろえたり、口がきけなくなったりして苦しみ、死亡(しぼう)する人もいました。

 

イタイイタイ病

富山県神通川(とやまけんじんつうがわ)の上流にある鉱山(こうざん)から、カドミウムをふくむ排水(はいすい)が川に流され、飲み水や米、野菜などを通じて、人々の体に少しずつたまり、骨(ほね)がもろくなってヒビが入り、悪化すると全身の骨(ほね)がおれてしまう。たえがたい痛(いた)みのためにイタイイタイと悲鳴をあげる人も現(あらわ)れたことから、イタイイタイ病という病名となりました。

 

田子(たご)の浦(うら)港ヘドロ

静岡(しずおか)県(けん)富士市(ふじし)の田子(たご)の浦(うら)湾(わん)で、紙をつくるパルプ工場から、ヘドロの元となるよごれた水が大量に流れこんで海底にたまり、悪臭(あくしゅう)などの被害(ひがい)がでました。

 

四日市ぜんそく

三重県四日市市の石油コンビナート工場から、二酸化硫黄(にさんかいおう)をふくむけむりが出され、まわりに住んでいた人々がぜんそくになってしまいました。